長い文章を書くのがにがて

レポートなどの何千字にもおよぶ文章を書くのがとてもにがてです。いや、苦手は少し言いすぎかもしれない、どれほど長くなっても書くこと自体はできるのですが。


問題は書いたあと、自分が数分前に書きあげたばかりのその文章を読んだとき、「これは、この文章は、わたしそのものだ」と感じる。

たくさん考えて考えて書いたはずなのに、まったく中身のない、ぺらぺらな内容。なのに、言葉遣いは変に巧みで、一見「それっぽい」感じになっている。

そして、教養もなければ人間性もない中身のない自分を、うわべだけ取り繕って飾り立てて、虚勢を張って、なんとか誤魔化しながら生きている、わたし。


ああ、わたしが、ばれてしまったと思う。恥ずかしくて、いたたまれなくて、身がよじれるような気持ちになる。わたしがどれほど仕方のない見るに耐えない人間かということを、よりにもよっていちばん知られたくなかった教養ある大人、先生に知られてしまう。


自分が、中身がないのに、いっぱしのプライドだけで生きている人間だということを知るのは、とてもこわい。知ってしまったら、どうやって改善するかを考えなければならなくなるからだ。そして、改善することがどれほど骨の折れる、途方もないことなのかということは知っている。だから、知らないふりをする。考えない。そうやって、考えることから逃げてなんとか息をしていたのに、文章を書くことによって、何度も何度も突きつけられてしまう。わたしが中身のない人間だということを。まだ逃げているということを。

文章を書くことという単純な活動であるはずのものが、わたしを、丸裸にするのだ。


わたしは文章を書くのがにがてだ。